第545回(2023年07月19日)

《著作権と商標権》コスプレ界は大きく変わってしまうのか!?日本の文化を守るには?

タイムテーブル

[開始] (0:02:25)

コスプレ界どうなっていくか?エバや鬼滅の偽衣装が売っていた。
昨今の撮影罪がおよぼす影響は?

[特集] コスプレに関する昨今の報道 (0:04:15)

「エヴァ」「鬼滅」偽コスプレ衣装販売疑いで男性書類送検
著作権法違反と商標法違反の疑い
他には東リベ特攻服も。コスプレ界への影響がおおきのでは?
著作権というよりは商標で問われたのか?
疑いで書類送検なので今後著作権か商標どちらであげられるのか注目。
21歳コスプレOL、自撮りわいせつ動画販売で逮捕
手軽に送金できるPayPay普及で同じ手口で稼ぐ素人女性が増加。こちらは著作権とは別で逮捕。
バニーガール衣装の製造販売に係る損害賠償請求事件
原告が被告に反訴されて負けた。出典:東京地方裁判所令和3年10月29日判決
稲毛海浜公園のイベントルポ 出典:デイリーしん2023年7月10日
コミケも始まるしコスプレが著作権違反にならないかというところを話していきたい。

[特集] コスプレと著作権法 (0:10:29)

著作権:著作物に関する独占的な権利 無方式主義、書いた瞬間から存在する。
無料・有料に関わらず著作権は有効。
著作権侵害とは?ポイント三つ。
①保護された他社の著作物を②無権限で③利用すること。
著作物とは?思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの。
著作物の例示(法10条1項)
法定利用行為とは?著作権法21条以下で定められた行為
複製(21条)、翻案(27条)は厳密。公に示してなくても著作権法違反にふれる可能性がある。
複製と翻案:依拠性、同一性・類似性 がポイント
無権限:許諾が無く、かつ、権利制限規定にも該当しないこと。
権利制限規制:私的使用のための複製、引用、非営利・無料の場合の著作物利用
引用の取り扱いも難しい。
コスプレに関する行為と著作権法上の権利
コスプレに関する行為と著作権法上の権利と裁判例(コスプレそのものの裁判例ではない)
マリカー事件では判決では反出されず。
コスプレに関する裁判例(概観)
マリカー事件:最終的には知財高裁のものが維持された。
概要と判決(マリカーの判決次第で日本でコスプレできない可能性もあった)
たいやきくん事件
概要と判決(類似性の判断の幅が大きい)
ライダーマン事件
概要と判決(類似性、依拠性の面からみると裁判は怖い)
依拠性はあったと思われる。類似の幅がこの幅なのか、という感じ。
Forever21事件
概要と判決
同人誌違法性サイト事件
概要と判決(2次創作だとしても著作権公衆送信権があると認められた※一部認容判決。2次創作としては画期的な判決だった。)
争点・判示(被告側も原告に違法と言いたかったが、2次創作でも著作権は認められた。かといってなんでもいいというわけではない。)

[特集] コスプレと商標法 (0:40:31)

商標権とは?商品やサービス(役務)について商標を独占的に使用することができる権利。
著作権との違いは手続きが必要(方式主義)、属地主義、絶対的独占権
商標の例:文字、図形、立体的形状、音、色彩のみ、ホログラム、動き、位置
商標・サービスの一覧:商標権はマークとそれを使用する商品・サービス(役務)との組み合わせから構成される。
コスプレは25被服・履物が関連する。後述
商標権の効力
商標権者は、権利を侵害するものに対して、侵害行為の差し止め、損害賠償等を請求できる
商標の事前調査:J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)やGoogleの画像検索
例)エヴァンゲリオン(登録10件)
東京リベンジャーズ(登録1件)には25が設定されているので商標侵害に触れた可能性がある。
鬼滅の刃(登録8件)
商標は怖いけどなんでも認められるわけではない。

[特集] コスプレとその他の法令 (0:54:02)

いろいろきわどいところがある。知っておいてもらいたい。
①表彰等窃用の罪(軽犯罪法1条15号)
資格がないのにオリジナルや偽物でも着用してはいけない。
摘発事例:1996年1月31日 警視庁八王子署 軽犯罪法違反で書類送検
②(米軍)制服を不当に着用する罪(刑特法9条)
米軍の払い下げとかはグレー。検挙されたみたいな話はすぐは出てこなかった。
③模造けん銃の所持の禁止・模造刀剣類の携帯の禁止(銃刀法22条の2)
金属製の剣は模造でも違法となる可能性がある。
不正競争防止法
概要説明
水着撮影会と法令
公然わいせつ罪174条、身体露出の罪、児童ポルノ禁止法
何をもってわいせつかは警察のお気持ちなところがある。あいまいな判断基準はおかしい。
身体露出の罪:海の水着はOK、通常の海水浴場での女性のトップレス水着は該当、ストリップは非該当
児童ポルノ禁止法 Q&A抜粋
摘発事例① 2017年2月6日 児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)で逮捕
摘発事例② 2017年5月29日 労働基準法違反
摘発事例③ 2014年6月4日 労働基準法違反(危険有害業務の就業制限)と児童福祉法違反(有害支配)
性的姿態撮影等処罰法(撮影罪法):法務省にてQAあり。
①性的姿態等撮影罪
②性的映像記録提供等罪
③性的映像記録保管罪
④性的姿態等映像送信罪
⑤性的姿態等映像記録罪
山田さんとしてはQ&Aを拡充してほしいと法務省に働きかけた。ただ法務省は見解をだしたがらない。こどもを守ることには変わりない。16歳の普通の生活の記録も制限されかねない。撮影罪はきちんと見ていかないと表現の自由にも影響ある。
肖像権:みだりに自分の肖像や全身の姿を撮影されたり、撮影された写真をみだりに公開されない権利
パブリシティ権:著名人の氏名や容姿に備わっている経済的な価値を保護する権利

[特集] 終わりに (1:18:43)

政府がコスプレのルール整備を表明(2021年1月29日)
最初は井上大臣が叩かれた。コスプレが非営利目的なら著作権法に抵触しないが~ ←ここは間違い。原作者がダメと言ったらだめ。産経がミスってる。
参考:コスプレは非営利目的なら著作権法に抵触しないのか?
営利を目的としない上演等(第38条)
解説:「著作権は法律で守られている」ことをもっと意識して
参考:Youtubeヘルプ「著作権に関するよくある誤解」
アメリカの法律をもとに作られている。
政府がコスプレのルール整備を表明(その後)
ヒアリング:権利者、原作者、コスプレイヤー、コスプレ衣装作成会社 etc..
関係者の多くがファン活動としてコスプレを好意的に捉えていることが判明
政府からは
司法や政治の判断が変な形ででてしまうとおかしくなるので気を付けないといけないが、権利者も守らないといけない。
コスプレに関わる注視点まとめ。
表現の自由と著作権は相性が難しい、表現の自由とこども政策も相性が悪い、表現の自由と誹謗中傷も相性が悪い、海賊版と表現の自由も相性が悪い。だからこそ山田さんが取り組んでいる。
相対する権利とぶつかったときにどこか現実的か、表現の自由を守るという事はどういうことか考えないといけない。どちらかに偏ってしまうと結局に表現の自由が奪われてしまうことにも。日本は司法判断できめていこうということにはならず、お金があり裁判に勝てるところが強くなる。落としどころを探りながらやっていく。
コスプレの自由を守りつつ、権利者とこどもも守っていく。
コスプレ文化は危ういところにある。コスプレと商標には注意、意識しておくべき。

[お知らせ] 表現の自由を守る会フォーラム開催 (1:33:09)

8月13日に表現の自由を守るフォーラムやります。TFT東9階でやります。是非参加ください。事前申込制。
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